コントラファゴット - Kontrafagott(Contrabassoon)
音楽活動でファゴットと共によく使用している所有楽器コントラファゴットについて書きます。
最終更新日:2025/09/04
コントラファゴットとは?
コントラファゴット ~ 「地の底から響く影」
コントラファゴットはファゴットより大きくてオクターヴ低いC管の木管楽器です。主に管弦楽や大編成の吹奏楽で使用され、木管楽器の中で最も低い音域を担当する大型の楽器です。
※コントラファゴット(Kontrafagott)という名称はドイツ語で、英語ではコントラバスーン(Contrabassoon)またはダブルバスーン(Double Bassoon)といいます。
管の長さは約6m近くもありますが、管を4回折り返している構造のためファゴットと同じぐらいの背の高さになっています。楽器が重いためバスクラリネット同様にエンドピンを地面に立てます。
コントラバスに相当する音域でパイプオルガンの低音のように深くて豊かな響きを持ち、オーケストラ全体を大きく支えます。コントラバスを補強したり木管セクションの最低音域を担ったり、テューバよりも低い音域を吹くこともあります。
管弦楽ではバッハやヘンデルにも作例がありますが、交響曲ではベートーヴェンの交響曲第5(「運命」)の第4楽章で初めて使用されました。編成が大きくなった近現代の曲では頻繁に指定され、ストラヴィンスキーの「春の祭典」のように2本使用する例もあります。
吹奏楽では大編成の曲で指定される場合がありますが多くはオプション扱いです。同じ音域のコントラバスクラリネットと共に、編成を拡張してサウンドをより充実させる任意使用の特殊楽器という位置付けになっています。
構造はファゴットでは指孔だった部分は全てキーになっており、運指は基本形は同じですが細部に違いがあり、特に高音域は違いが大きいです。最低音はBbが基本ですが、半音低いAや替えベルでCの楽器もあります。
リードはファゴットのものは使えず、一回り大きいコントラファゴット専用のものを使用します。
価格は多くのメーカーで300万円~600万円台(2025年現在、400~800万円と値上がり中)と非常に高価ですが、近年はアマティやタケダバスーン等が費用対効果の高い楽器を製造し、団体や個人への普及が進みました(但し2022年現在円安や物価高騰で大幅に値上がり中)。
とはいえ依然絶対数が少ない特殊楽器の代表格で、使用曲がある度に借りている団体も多いと思います。私も個人で所有していますが、賛助依頼・楽器のレンタル依頼も多いです。
※レンタルは知人を基本としていますが、どうしても必要な状況でしたらご相談に乗りますのでご連絡ください(都内在住です)。過去にはプロ奏者へのレンタルや、アマチュアの演奏会当日に楽団の楽器が壊れて急きょ貸した例もあります。 →お問い合わせフォーム
コントラファゴットの音が聴ける動画
YouTubeに演奏動画が沢山があります。低い音で聞き取りづらいため基本的にイヤホンを推奨します。下記動画は最低音からのBb-durのスケールです。
■What does a contrabassoon sound like? (Scale)(Utah Symphony & Utah Opera (USUO))
コントラファゴットの主なメーカー
- アマティ(Amati,チェコ)
- アドラー(O.Adler,ドイツ)
- ヴォルフ(Wolf,ドイツ)※コントラフォルテという改良型も有
- シュライバー(W.Schreiber,ドイツ)
- タケダバスーン(TAKEDA BASSOON,日本)
- ピュヒナー(Puchner,ドイツ)
- ヘッケル(Heckel,ドイツ)
- フォックス(FOX,アメリカ)
- メーニッヒ(Monnig,ドイツ)
- モースマン(Moosmann,アメリカ)
- モーレンハウエル(Mollenhauer,ドイツ)
基本的にファゴットを製造しているメーカーが製造しています。ヤマハは製造していません。
所有楽器の紹介
メーカー:Amati (アマティ)
機種:ABN36s
定価:(当時の定価が不明、2025年現在は400万円以上)
仕様:最低音Bb、G#替え指キー付き、ベル彫刻有、4ローラー ※最新機種と比べると、右手親指D#、小指F#の替え指キーがない。
付属品:ハードケース、ストラップ、ボーカル2本(1番、2番)、ハンドレスト
購入経緯
高校の吹奏楽部は公立校ながら比較的恵まれた環境で、3年の時に学校にコントラファゴットがやってきました。コントラファゴットは吹奏楽の中ではかなり高価で希少・特殊色がとても強い楽器です。自分が本番で吹く機会はありませんでしたが、この環境の中で身近に感じるようになりました。
大学でも4年の時にコントラファゴットを団体が購入するタイミングに出くわしましたが、ファゴットが自分1人だったため使用する機会はありませんでした。このように学生時代は貴重なコントラファゴットがありながらも使用機会に恵まれませんでした。
大学を卒業し、いつしか自分の楽器が欲しいと思うようになりました。そしてアマティというメーカーの楽器が比較的安価で入手できる機会があることを知り、費用を貯めて思い切って購入しました。それを目標に仕事を頑張った事を思い出します。
引き渡しの日は偶然にも誕生日でもありました。体調が悪かったのを押しのけて楽器屋さんに受け取りに行ったのを思い出します。こうして20代前半でついにコントラファゴットの個人所有者になりました。
購入後の活動
ファゴット以上に希少度が高く個人所有が珍しいため、年中様々な団体からお呼びがかかるようになりました。特に楽器編成にこだわりのある団体、音楽作りへの意識レベルの高い団体から呼ばれるケースが多いため、貴重な演奏に参加できると共に経験値アップにつながりました。
当初は吹奏楽中心でしたがファゴット共に自然と管弦楽へも進出しました。特にベートーヴェンの「第九」、ブラームスの交響曲第1番、デュカスの「魔法使いの弟子」を演奏する機会が多いです。
毎年全国からレベルの高いメンバーが集まり関西で開催される「吹奏楽団Festa」ではほぼ毎回楽器を(新幹線に乗せて)持って行き、演奏会や年越しイベント時にファゴットアンサンブルでも演奏しています。
コントラファゴットを所有する事でファゴットだけよりもさらにチャンスが広がり、活動が幅広く豊かになりました。自分にとってファゴットと共に欠かせない大事な相棒です。
関連装備
持ち運びする時のケースはアルティエリのギグバッグを使用しています。約1.8kgでとても軽量なソフトケースです(ハードケースは9kg!)。
スタンドは主にFOXの分解式スタンドを使用しています。約1.9kgと軽量でコンパクトで持ち運びに適しています。比較的低い位置で楽器を支えます。
ブログのピックアップ
音楽ブログ「みやだいのFg日和」に書いたコントラファゴットに関する記事をピックアップします。
【練習・体験】
【楽器探究】
【Fg普及と活用】
※日々の活動、体験やエピソード、新しい情報は音楽ブログをご覧ください。












